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これから妊娠するすべての女性たちへ
〜ビタミンB(葉酸)は先天性奇形を減らす〜

妊娠を考える女性が、摂ることを勧められているビタミンB(葉酸)。摂ったほうがいいのは分かるけれど、どのくらいの時期からどれくらい摂ったほうがいいのか、一体どんな成分で何に効果があるのか、丁寧に解説します。

 

 

■私はビタミンB(葉酸)が必要でしょうか?

 

はい、妊娠する予定・可能性がない方を除いて、すべての女性は1日0.4mgのビタミンB(葉酸)を摂ることが推奨されています。「予期しない妊娠」や「授かり婚」もあるので、日頃から毎日摂ることが望ましいとされています。

 

ただし神経管閉鎖障害(無脳症や脳瘤、二分脊椎など)のお子さんを妊娠したことがある方や、抗けいれん薬(カルバマゼピンやバルプロ酸など)を内服中の女性は、より多くのビタミンB(葉酸)が必要なため、1日4mg程度摂ることが勧められています。その場合は、自ら購入したサプリメントだけで補おうとすると、他の成分の過剰摂取になる可能性があるので、妊娠前に必ず医師に相談しましょう。高用量葉酸の処方薬を出してもらうことが可能です。

 

■どんな奇形を予防できるのでしょうか?

 

ビタミンB(葉酸)は、これから生まれてくる子どもの病気を予防する効果があります。ただ、全ての病気が予防できるわけではありません。二分脊椎、脊髄髄膜瘤、無脳症、脳瘤など神経管閉鎖障害と言われる、脳や脊髄が体表に露出した病気の予防に効果があります。

 

■そもそも葉酸ってなんですか? 妊娠するのにサプリメントなどは飲みたくないのですが……。

 

葉酸はビタミンB群の一種で、ほうれん草など緑黄色野菜に多く含まれているものです。通常の食事のみでは必要量を摂ることができないので、サプリメントなどで補うことが効果的と言われています。

 

■ 副作用はないのでしょうか?

 

サプリメントで葉酸を摂っても、皮膚がかゆくなったり赤くなったりするような一部の過敏症を除いて、副作用はほとんどないと考えていいでしょう。

 

妊娠前や妊娠中に薬を飲むのを避ける気持ちは十分に理解できますが、必要なものを必要なだけ摂るために、世界中で推奨されていることですので、安心して摂ってください。

 

 

■妊娠してから飲み始めるのでは遅いのでしょうか?

 

葉酸を摂ることで防げる病気は、脳や脊髄の病気で、妊娠初期の数週間に生じます。生理がこなくて妊娠に気づく時期(妊娠反応が陽性になる時期)は、どんなに早くても妊娠4週ですので、妊娠を予定している方は、妊娠に気付く前から摂る必要があります。また妊娠の約半数は「予期しない妊娠」です。そのため妊娠を予定していなくても、妊娠する可能性のある女性は、今日からでも飲み始めることが大切です。

 

■それでは逆に、いつまで摂るべきなのですか?

 

妊娠前から妊娠12週までの効果は確認されていますが、それ以降の摂取に関しては諸説あり、決まった見解がないのが現状です。ただ、妊娠12週目以降摂り続けても、特に問題はないとされています。この時期には産婦人科に通っていますので、かかりつけ医や病院の栄養士などと相談しながら量を調整するよう心がけてください。

 

■どこで手にいれることができますか?

 

薬局やコンビニなどで簡単に購入することができますし、インターネットで検索すると、たくさん情報を見つけることができます。サプリメントによって含まれる成分は異なりますので、それぞれの用法用量を守って摂るようにしましょう。

 

葉酸とは逆に、摂りすぎに気を付けたほうがいいビタミンAが含まれていることもあるかと思いますが、説明書に妊娠中摂ることが可能と記載されているものを、用法用量を守って摂っていれば問題ありません。

 

■先ほど、世界中で葉酸を摂ることが推奨されていると言っていましたが、日本も同様ですか?

 

日本でも2000年、旧厚生省が「いわゆる栄養補助食品からの葉酸摂取のメリットについて情報提供を行うこと」との通達を出しました。それにより、医療機関や学会からも情報提供がなされています。

 

しかしながら、国内では二分脊椎などの病気の発症数はむしろ増えていて、いまでも毎年約600名の子どもたちがこれらの病気を持って生まれ、障がいを抱えながら育っています。日本では、政府が勧告を出してはいるものの、まだ広く浸透していないのが現状と言えるでしょう。

 

参考:

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

厚生労働省 葉酸普及研究会

日本産婦人科学会ガイドライン

 

■葉酸を摂ると100%予防できるわけではないということですか?奇形を持って生まれてきたらどうしようと不安です。

 

確かに葉酸を摂っていても、二分脊椎や無脳症などの病気を100%予防できるわけではありません。しかし、葉酸を摂らずに病気を持った子が生まれても自身を責める必要は全くありませんし、

病気の状況に応じて時期は違うものの、日本国内では生後の手術が一般的に行われています。また、歩行障害や排尿障害などの症状があることもありますが、さまざまな団体が支援を行っています。

 

参考:

日本二分脊椎症協会

難病情報センター

 

 

■まとめ

 

全ての妊娠可能な年齢の女性は、妊娠前から葉酸を1日0.4mg(=400μg)摂るよう心がけましょう。ただし、多く摂る必要がある女性は、医師に相談するようにしましょう。

 

 

【参照】

診療ガイドライン産科編 2014:日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会 

厚生労働省 葉酸普及研究会

日本二分脊椎症協会

米国CDCの葉酸に関する情報ページ(英語)

 

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